1型糖尿病とは

1型糖尿病は糖尿病の中でも、若年層で発症する事が多いです。

糖尿病の症状があらわれるのが8歳からといわれ、患者の多くは10歳~18歳の間に起きやすいといわれます。

風邪みたいな症状があってから体調が悪くなったのを感じて診察を受けてみると発症していたことがわかったというケースがあり、インスリンの分泌が悪くなったり、全然全く出なくなるなどで、血糖値を低くする機能があるインスリンが欠乏状態になり、いろいろな合併症を併発します。

インスリンが欠乏状態とならないために、1型糖尿病患者は、インスリン導入は必須です。

糖尿病を発症する原因は、2型糖尿病のように過食や運動不足などではありません。

何らかのウイルス感染による自己免疫反応からランゲルハンス島・すい臓のβ細胞に対する抗体が生み出され、β細胞が攻撃されてインスリン分泌機能が不足したためといわれます。

この自己免疫反応は、免疫機能を助ける遺伝子の影響下にあるといわれますが、発病に及ぶプロセスのなかで、まだ不明な点があるのが現状で、1週間以内に発症する劇症1型糖尿病というジャンルもあります。

1型糖尿病は小児糖尿病ともいわれるためか、子供のみが発症するだけでなく、中高年になってから発症するケースもあります。



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糖尿病:インスリン治療

インスリンを勧める第一の目的は「血糖コントロールをよくする」ことです。

良好な血糖コントロールにより、合併症の予防が期待でき、将来も、糖尿病でない方と同じような生活を送ることができます。


インスリンを勧める時
① すぐにインスリン治療をしなければ、命に関わる可能性がある場合。
② 食事療法や運動を心がけ、血糖値を下げる薬を服用しても、血糖コントロールがうまくいかない場合。
③ 高血糖が持続していると、インスリンを出す、すい臓のβ(ベータ)細胞が弱ってきて、だんだんインスリンを出せなくなってきます。そのため、さらに高血糖になるという悪循環に陥ります。また、インスリンの働きが悪くなるインスリン抵抗性のある方も、高血糖によりいっそうインスリンの働きが悪くなり血糖値が高くなってしまいます。


すぐにインスリンが必要
①1型糖尿病の方
②糖尿病性昏睡(ケトアシドーシスなど)
③重症の腎障害、肝障害
④重症の感染症(壊疽(えそ)、肺炎など)、手術
⑤糖尿病合併妊婦、食事療法で良好な血糖コントロールの得られない妊娠糖尿病⑥静脈栄養時の血糖コントロール


できるだけ、インスリンが必要
①糖毒性の強い方
②現在の治療で良好な血糖コントロールが得られない方
③糖状態の悪いやせ型の方④ステロイド治療時に高血糖を認める場合



         
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糖尿病の合併症:急性合併症

急性合併症とは、お年寄りに多い「非ケトン性高浸透圧性昏睡」や、極度にインスリン不足になることで起こる「糖尿病性昏睡」などのことです。

急性合併症は、対処が遅れてしまうと命に関わるので、とても危険な合併症です。

急性合併症になる原因は、医師の指示通りにインスリン注射をしなかったり、お年寄りが脱水症状になったときになどです。

急性合併症は危険ですので、すぐに対処する必要があります。糖尿病の方も急性合併症にならないように注意する必要があります。




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糖尿病の合併症:慢性合併症

慢性合併症は、3大合併症などをはじめ、様々な症状があります。そして、糖尿病の方にだけ起こる合併症と、糖尿病であることで起こりやすくなる合併症の 2つに分けられます。

糖尿病の特有の合併症は、前述しました 「3大合併症」と呼ばれるものです。糖尿病の 3大合併症とは、網膜症、腎症、神経障害の 3つです。これらの合併症は、高血糖により細小血管が障害を受けることによりおこります。

糖尿病であることで起こりやすくなる合併症は、動脈硬化症、そして動脈硬化にともなう狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、さらに白内障、緑内障、感染症(肺炎、膀胱炎など)、足の障害(潰瘍、壊疽)などです。

慢性合併症の特徴は、初期状態では自覚症状がないことです。高血糖のままそれに気付かずに生活していると、合併症は進行し、自覚症状が出たときにはかなり悪化しているという事態になってしまいます。





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糖尿病の合併症:動脈硬化

動脈硬化とは、動脈という血管の内側の壁に脂肪やコレステロールがたまってしまい、血管が硬く、もろくなる病気です。

動脈硬化は、様々な病気を引き起こすのでとても怖い病気です。

動脈硬化になる原因は、糖尿病だけでなく、肥満、高脂血症、高血圧、などもあります。

これらを複数もっていると、さらに動脈硬化は進んでしまいます。この状態のことを「メタボリックシンドローム」といい、危険な状態といえます。

動脈硬化になりやすくするのは、多くの場合、過食と運動不足です。

メタボリックシンドロームにならないためには、生活習慣を改善することが重要です。

動脈硬化は、だれでも年をとれば起こるのですが、糖尿病の方は普通の人より早く動脈硬化が起こり、しかも悪化するスピードも速いので注意が必要です。

動脈硬化が悪化していくと、血管が詰まります。血管が詰まると、その先に血液が流れなくなるために、いろいろな障害が起きてきます。



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糖尿病が歯に与える影響

1.だ液の量が減る
だ液の量が減ると口の中が乾燥し、虫歯や歯周病が発生しやすくなり、またその進行も速くなります。

2.だ液中のブドウ糖が増加
だ液中のブドウ糖は歯垢(しこう)の形成や付着を促進するため、虫歯や歯肉炎、歯周病が起こりやすくなります。

3.白血球機能の低下
白血球は細菌の侵入を防ぐ重要な役割を果たしていますが、特にインスリン依存型の糖尿病患者さんの場合、白血球の機能が低下することがあるので、歯周病の原因菌が増殖しやすく、歯周病を進行させます。

4.微小血管障害が起こる
微小血管障害が起こると、血液の循環が悪くなり、細菌に感染しやすくなり、歯周病にかかりやすくなります。

5.コラーゲンの合成を阻害
傷が治りにくくなることをいいます。つまり歯周病の治りも悪くなるということです。



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糖尿病と飲酒の関係

糖尿病の人は基本的には飲まないにこしたことがありません。それは以下の様な理由からです。

��・お酒には栄養素が全くなしアルコールはカロリーが高く、他に見るべき栄養素が全くと言っていいほど含まれていません。そのため、栄養素バランスを崩しやすくなります。
アルコールをエネルギーの面からだけとらえて、ご飯などの他の食品と交換するのは適当ではありません。

��.食事療法が乱れるアルコールは食欲を刺激し、肥満の原因となり、自己抑制がきかなくなる為、食事制限が守れなくなります。
このため、血糖のコントロールが悪くなります。食事療法の失敗の主な原因は、男性の場合はアルコール、女性の場合は間食だとされています。


��.低血糖を招くおそれが・経口剤やインスリン製剤の効果を強くし、時には低血糖を起こす作用があります。


・インスリン注射をしている場合には、時間によっては低血糖を起こしやすくなります。


・血中の中性脂肪の高くなりやすい人、血圧の高くなりやすい人、尿酸の高くなりやすい人が糖尿病では多いですが、アルコールはこれらを助長します。





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糖尿病予備軍と呼ばれる基準

一日の血糖値が平均的に高い人を総まとめにして「糖尿病予備軍=プレ糖尿病=かくれ糖尿病」と呼ばれています。

「糖尿病予備軍」と呼ばれた方の半数の人は、やがて2型糖尿病になりやすく、また「予備軍」と言われてから10年以上改善出来なかった場合、ほぼ全員が2型糖尿病になると言われています。

メタボとか糖尿病予備軍と言われ時点で諦めずに、それまでの生活習慣を改善すればその状態から脱出することも可能です。

厚生労働省の平成19年国民健康・栄養調査によると、糖尿病予備軍は約1320万人+糖尿病が強く疑われる人は約890万人=約2210万人と推定されています。

そして、その糖尿病予備軍の中で男性の場合、40代11%、50代16.7%、女性の場合、40代10.4%、50代20.8%占めています。

厚生労働省の疫学調査では、過去2ヵ月の平均血糖値を示すヘモグロビンA1C(エー・ワン・シー)が使われていますが、「糖尿病の可能性を否定できない人=糖尿予備軍」のA1Cは5.6%以上~6.1%未満となっており、これを推定平均血糖値(eAG)にすると、概算で122mg/dl以上~137mg/dl未満になります。

健常人の早朝空腹時血糖は、おおよそ100mg/dl以下ですから、やはり予備軍は危険ゾーンと言えます。




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糖尿病患者によく見られる感染症

尿路感染
膀胱炎、腎盂炎、腎盂腎炎など。男性よりも女性に多く見られ糖尿病性腎症を併発していると病気の進行も速くなる。

口腔内感染
虫歯や歯槽膿漏など。唾液の減少が虫歯が出来やすい環境を作り、血流の悪化が歯周病を起こす。

吸器感染
風邪、肺炎、結核など。免疫力・抵抗力の低下により外からのウィルスや細菌が侵入するのを防げない。

皮膚感染
比較的に症状が軽い為放置しがち。やがて壊疽に進行することもあるので、十分な注意が必要。





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糖尿病の食事療法:3大栄養素

糖尿病だからといって、特別食べていけないものはありません。甘いものも食べていいんですが、1日の決められたエネルギーの範囲内で、糖質・脂質・たんぱく質のバランスのとれた食事をすることが必要です。

3大栄養素である、糖質・脂質・たんぱく質は一般的に、1日の総エネルギー量の、「50~60%を糖質」、「20~25%を脂質」、「15~20%をたんぱく質」という割合でとることが望ましいとされています。

血糖値があがってしまうから糖分をまったくとらないことはよくありません。

糖分は必要なエネルギーです。糖尿病の具合によって制限してとることを心がけましょう。

1日にとるエネルギーの総量を制限して、適切で健康的な食事を。



       
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糖尿病の食事療法:ビタミンやミネラルをとる

ビタミン

ビタミンには、「ビタミンC」、「ビタミンA」、「ビタミンE」など、その他様々な種類があります。

ビタミンの種類によりその働きは少しづつ違いがありますが、ビタミンの働きは大きく言うと、三大栄養素である糖質・脂質・たんぱく質の働きをスムーズにすることです。

三大栄養素をしっかりとっていても、ビタミンが不足していたら、体内で栄養素をうまく利用できなくなってしまいます。

ビタミンが不足していると現れる症状としては、食欲の低下、疲れやすい、歯茎から血が出る、口内炎ができる、などです。

ビタミンは不足しがちになってしまいますので、上記の症状がある人はもちろん、そうでない人も、ビタミン不足にならないように注意しましょう。

ビタミンは緑黄色野菜に多く含まれています。ですから、毎日の食事・献立に、野菜を積極的に取り入れるようにしましょう。


ミネラル

ミネラルも、私たちの体にとって重要な栄養素です。カルシウム、リン、ナトリウム、鉄、カリウム、マグネシウム、ヨウ素、など他にも様々な種類があります。

ミネラルもビタミンと同じように、体の中で潤滑油のような役割をしています。

ただ、ミネラルはビタミンと違い、普通に食事をとっていれば、必要量をほぼとることができます。

それでも、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄などは、不足してしまうこともあるので注意が必要です。

ミネラルでもとりすぎてはいけないものもあります。ナトリウムです。

塩分の取りすぎにより、高血圧などの生活習慣病のリスクが高くなるということをご存じの方もいらっしゃるでしょう。

また、「リン」をとりすぎると、カルシウムの吸収が悪くなってしまうことで、骨の代謝障害になってしまいます。

不足する可能性のあるミネラルと、とりすぎてはいけないミネラルを覚えておいて、食生活の献立に注意しましょう。塩分は特にとりすぎてしまう人が多いのではないでしょうか?濃い味が好きな方、要注意ですよ。


糖尿病の方は食事療法により食事制限をするわけですが、ビタミンやミネラルは食事制限をすると、どうしても不足がちになってしまいます。ですから、意識してビタミン、ミネラルをとることを心がけましょう。


食物繊維

そして、食物繊維をとることも、とても重要です。

食物繊維は糖尿病の治療に力を貸してくれます。そして栄養が腸の中で吸収されるのを遅らせてくれるので、血糖値の上昇をおさえてくれます。

さらにコレステロールを体の外に排出してくれるなど、合併症の予防にもなります。



      
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糖尿病の食事療法:砂糖と糖質

糖尿病は血糖値が下がらず、高血糖になってしまうことで、体に悪い影響がでてしまう病気なので、血糖値が健康な人と同じであれば問題は無いので、食べ物の種類の制限はありません。

ただ、砂糖の摂取には気をつける必要があります。

3大栄養素の一つである「糖質」は、1日のエネルギー量の 50%から60%を取得するのがよいです。

糖質と砂糖とを一緒のものと考えてはいけません。

ご飯などに含まれる糖質は、でんぷんなので、ブドウ糖に変えられて吸収されるまでに時間がかかりますが、砂糖は消化吸収が早いので、血糖値がすぐに上がりやすいんですね。

それに、ご飯には他の栄養(ビタミン・カルシウムなど)が含まれていますが、砂糖にはそれがありません。




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糖尿病患者によく見られる感染症

尿路感染・・・・膀胱炎、腎盂炎、腎盂腎炎など。男性よりも女性に多く見られ糖尿病性腎症を併発していると病気の進行も速くなる。

口腔内感染・・・・虫歯や歯槽膿漏など。唾液の減少が虫歯が出来やすい環境を作り、血流の悪化が歯周病を起こす。

吸器感染・・・・風邪、肺炎、結核など。免疫力・抵抗力の低下により外からのウィルスや細菌が侵入するのを防げない。

皮膚感染・・・・比較的に症状が軽い為放置しがち。やがて壊疽に進行することもあるので、十分な注意が必要。




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